第28回目・FIBA ワールドカップ 2019 アジア地区2次予選 vsイラン

第28回目。

オーストラリアに続いて、アジア最強の国の一つであるイランに、2005年以来の勝利。もう驚かない、実力でイランに勝っていた。何年たっても勝てないだろうと感じていたオーストラリアや、パワーや跳躍力、上手さ、全ての面で地力の違いを感じさせられていたイランに勝利した。間違いなく過去最強の日本代表を見る事が出来ている。その中心にいるのは、八村塁だ。この選手の存在が代表の強さ、そのものと言っても良いぐらい。そして、同じタイミングに渡邊雄太とニック・ファジーカスという、これも過去最高の日本代表選手。

いつもNBA、日本代表、Bリーグ、日本の大学、日本の高校と、それぞれの試合を観る時は、それぞれのレベルに合うように自然と補正をかけている自分がいる事には気づいていた。NBA基準で観戦すると、それぞれのレベルで発揮されている凄さが分からなくなり、選手の良さや戦術の良さを感じられなくなるから。NBA目線で各カテゴリーを批判的に語るコメントなどを読むと、一度そのステージに立って体験してみたら、その批判が的外れだと分かるのに、と思ってしまうし、今でも、各レベルの良さに気づく事は、とても大切な事だと思っている。

でも、八村塁や渡邊雄太のプレーは、その補正が自然と外れてNBA基準になっていっているのが自分で分かる。日本代表の試合として観た場合、八村塁や渡邊雄太のジャンパーの打点の高さや、ディフェンスの強度・機動力は異常だ。

渡邊雄太がウィングにいてショートコーナーで相手を完全に抑えてシールする八村塁がいる。渡邊雄太からのパスを八村塁が受ける。一度、渡邊雄太に戻して、もう一回八村塁に入れようとして途中でやめる渡邊雄太。そのやめ方が、片手でボールを握ってハンドボールのようにして止めて、そこから左にドリブルをついて、異常な打点の高さからのプルアップジャンパーを決める。4Q最後のワンプレーだが、一つひとつのプレーが今までの日本代表にとっては考えられないレベルだ。ディフェンスをしているイランの選手などは、レベルの高さを実際に肌で感じているだろう。

よく戦術か、個の力(個人技や身体能力)か、のような話がある。サッカーでも良く聞くし、バスケでも言われる。この話は、考えれば複雑にいくらでも出来るが、ある意味、単純に考えると簡単な話だと、今の日本代表を見ていると改めて思う。私見だが、9割が個の力で1割が戦術。だいたい、その程度の影響力だと思う。でもバスケの戦術は年々進化し、複雑化している。何故か?その戦術が影響する1割が、各カテゴリーでの勝敗を左右するからだ。分かりやすい例をあげると、スペインピック&ロールという戦術が数年前、ヨーロッパで出だした。すぐにNBABリーグでも取り入れられた。そのような事はいくらでもあると思う。おそらくレベルの高いリーグと低いリーグで戦術や理解度に対する差は思っているほど無い。インターネットが、それを可能にしている。学生レベルでも同じような戦術に対する知識を得られる。だが、日本の大学生がNBAのチームに同じ戦術で勝てるだろうか。奇跡が起きても勝てないと言える、それぐらい個々の能力の差が大きすぎるからだ。なので先述のように9割対1割程度の影響力という事になる。となると、プロチームや学校などはリクルートが大切な要素となるし、代表となると、その国の育成が大切な要素となると言える。戦術で勝負出来るところまで、同じ土俵に上がれるまで、まずは個の力を上げる事が必要だから。

何はともあれ、勝てる日本代表の試合は面白い。次からは八村塁と渡辺雄太が日本代表として戻って来られないと言われている。ニック・ファジーカスと残った日本代表の面々の試合を応援したいと思う。それぞれの選手が、八村塁や渡邊雄太と同じチームになって、何かを感じていると思う。馬場雄大は、かなり影響を受けていると言っている。竹内譲次は、八村塁と練習をして、このままでは練習相手にもならないと感じ、レベルアップの必要性を肌で感じているとコメントしている。比江島慎はオーストラリアのプロに挑戦している。

渡邊雄太は、本当に良い選手だ。自身のスティールからのレイアップで同点に追いついた時、観客をあおっていたが、絵になっていた。そんな日本人は、今までいなかった。八村塁は試合後のインタビューで妹へバースデーソングをプレゼントしていた。観客も一緒に歌う。これも絵になっていた。試合前のアップのダンクもショータイムのようだった。彼らがNBAの試合に出たら、彼らの名前と背番号の入ったユニフォームを、子どもの分と合わせて絶対に買う。おっさんに、そんな事を思わす選手が、日本に出てきた事が嬉しい。

第27回目・FIBA ワールドカップ 2019 アジア地区2次予選 vsカザフスタン

第27回目。

2018年9月13日にアウェーで、FIBA ワールドカップ 2019 アジア地区の2次予選初戦であるカザフスタン戦があった。

私の知っているカザフスタンに関する情報はゼロ、日本代表にとっては手ごわい相手だろうと勝手に想像していた。対する日本は、ニック・ファジーカスが手術明けの為メンバー外であるが、グリズリーズと2ウェイ契約を結んだ渡邊雄太 とゴンザガ大の八村塁のメンバー入りが発表されており、ニック・ファジーカスがいない点は不安ではあるが、期待が上回っていた。

カザフスタンは1次リーグを、中東アジアの国が中心となるグループの4チーム中2位で通過している。日本はグループ4チーム中3位通過だが、八村塁とニック・ファジーカスがメンバー入りして2勝するまでは全敗だったので、ギリギリのところで3位通過したと言える。ただ、二人が加入してからの2勝の内の1勝は、アジア地区予選最強のオーストラリアからもぎ取ったものだ。そう考えると、二人が加入して一気にアジア最強レベルにまでチーム力が上がったと考えてもおかしくはない。その後のチャイニーズ・タイペイ戦にダブルスコアで勝利している事からも、オーストラリア戦の勝利がフロックではない事が分かる。後は、ニック・ファジーカスがいない部分がどの程度影響するのかという事と、渡邉雄太の加入が、どの程度のプラスになるのかという事が、この試合を観戦する上での興味が引かれる部分になった。ただ、長年の癖で全然楽観視していない自分がおり、一番負け癖がついているのは自分なのでは、とも思いながら、緊張して観始める。

試合開始早々、カザフスタンがホームよろしく、相当強いプレッシャーをかけてきて、代表戦特有の激しい粘着ディフェンスをしかけてくる。カザフスタンの選手はフィジカルが強く、跳躍力もあり、正直、八村塁、渡邉雄太、ニック・ファジーカスがいない時の日本代表であれば、負けていると感じた。Bリーグになってディフェンスの激しさがかなり向上したと感じてはいるが、それでも、あの国際試合特有の球際の激しさは、Bリーグ以上だ。当然、代表戦だからこその激しさではあるが。

ここで渡邉雄太が206センチの長身ながらクロスオーバーからドライブをしかけ高い打点のフックシュート気味のレイアップを決める。そこからバスケットカウントを何本か沈め、日本のペースに戻していく。八村塁もリバウンドにミッドレンジのシュート、ブロックショットにポストプレイからのダンクと高いレベルで安定した力を発揮する。この二人のプレーを見ていると、上手いとか跳躍力があるとかは当然なのだが、非常にタフであり、格闘技の試合のような雰囲気がある。フィジカルなプレーをしかけられても、動じず、むしろ、そうでなければバスケじゃないと言わんばかりの気持ちが見える。上手い選手は日本にもたくさんいるが、国際試合で勝たせられる選手というといない。八村塁や渡邉雄太、ニック・ファジーカスは、勝たせられる選手だと感じる。特に、八村塁は相当にタフになっている。リバウンド、ブロックショット、ジャンパーなどの強度や精度が高く、1試合を通じて相手の脅威となり続ける。渡邉雄太もそうなのだが、2メートルを超える選手の運動量が多いと、オフェンスでもディフェンスでも、相手にとってはボディーブローのように効いてくるのが分かる。渡邉雄太が3番ポジションにいる事の凄さが試合を観ているとよく分かる。手足が長く、逆サイドからでもリムプロテクトに跳べる機動力もあり、カザフスタンが何度も二人からブロックをくらっているのを見ると、今までの日本代表とはレベルが違うなあと感じる。NBAのチームでコーチをしていたチャイニーズ・タイペイのアシスタントコーチが、八村塁とニック・ファジーカスが入る前と後の日本代表では「スワグが違う」とコメントしていたそうだ。スワグとはスラングでオーラみたいな意味のようで、実際に対戦するとより感じるものがあるのだと思う。

フリオ・ラマス監督は、代表監督として、私がとても大切だと考える運のある人かもしれないと思える節がある。それは、不祥事のあったアジア大会に、実質は普段呼ばれていない選手を中心とした代表ではあったが、事前に色々と理由をつけて参加しておらず、矢面に立たずに済んだ事。そして、渡邉雄太、八村塁、ニック・ファジーカスという歴代でもぶっちぎりで強力な選手が同時に3人も現れるタイミングで代表監督に就任している事。ギリギリのタイミングで綱渡りのような予選になっているが、全力で頑張って準備の出来ている人のところに運が向くと言うし、信じて次のイラン戦も期待したい。

イラン戦は、すぐに次の月曜日にやってくる。イランはオーストラリア、ニュージーランドがアジア予選に加入するまでは、中国と共にアジアの覇者として君臨していたチームだ。当然、1次リーグはグループ1位で通過している。八村塁と渡邉雄太は、このイラン戦を最後にアメリカに戻り、以後のアジア地区予選は参加できない可能性が高いと言われている。なんとか勝利してほしいと願う。

第26回目・2018年アジア大会での日本代表の不祥事について

第26回目。

情けなくて残念な話を書きたくないが、日本バスケの変遷を記すおぼえがきなので書こうと思う。

2018年8月10日からインドネシアジャカルタで開催されているアジア大会で、バスケットボール男子日本代表の4選手が買春行為を犯し、代表認定を取り消され帰国した。

日本と日本選手団とバスケットボールを代表し、公費で出場した中での出来事である。本当に情けないし、色々な人から、この件を通してバスケットボールについて無意識に出るネガティブな感想や意見をメディアなどで聞くたびにつらくなる。代表の公式ウェアを着て大会期間中に歓楽街でお酒を飲む時点で既に、私もダメだと感じた。

今回の4選手のうち2名は、どのようなプレイヤーか私は知らない選手だった。他のメンバーには学生も含まれており、どちらかと言うと、何か光る物があり、今後の伸び代に期待された、千載一遇のチャンスを与えてもらえた中の中心になるはずの4選手だったのだと思う。そんなチャンスの中で、何故お酒を歓楽街で飲んでいるのか、次戦に向けての体調管理は考えなかったのか。この4人の中で出来れば最年長の人間が本来は注意しなければならなかったと思うが、実際は逆だったのかもしれない。4人全員が浮かれていたのか、もしくは、年長者に誘われて断れなかったのか。後者であれば、悔いても悔やみきれない判断だったと何度も振り返っていると思う。普段の生活でも、程度の差はあれ、良くないと思っていても、つい、というような瞬間は幾度もあると感じる。その時に、しっかりとした自己判断が出来なければならないと思う。

そもそも、このレベルの選手が大会期間中にお酒を飲む事ですら、有り得ないものと思っていた。それぐらい自分を律する選手が、そのような舞台に立つものだと思っていた。選手としてのレベルの高さが、人間性の高さに直結しないという当たり前の事を教えられたような気がする。バスケットボールの技術よりも人間教育の方が先に来なければならないと、強く意識するようになった。

社会的制裁は、すでに十分に受けていると思うが、これを取り返すには時間と努力が必要だと思う。家族、応援してくれている人、スポンサーなどの気持ちを考えると仕方がない。でも、その先にはバトミントンの桃田選手のように、人間が変わったように成長する可能性もある。二度と馬鹿な事はしないと、誰かから指導を受けるよりも強く思っているだろう。その思いを生かす為には、この4選手を支える周りの環境が必要になってくると思う。こんな環境でも支えてくれた、そんな人たちを二度と裏切らないと強く思えるような環境を。まだ、そういった気持ちになるには、本人も周囲も時間がかかると思うが、それが大切だと感じる。

人生は続くし、本気で頑張る姿を見たら、周囲は今まで以上に信頼し、応援してくれる時が来るだろう。その道はバスケであってほしいが、それ以外の道を選ぶのかもしれない、真面目に腐らず地道に頑張るしかない。

第25回目・渡邊雄太がメンフィスグリズリーズと2ウェイ契約

 第25回目。

渡邊雄太がメンフィスグリズリーズと2年間の2ウェイ契約を結んだ。時を同じくしてナイキとの7年契約も結んでいる。

まだNBAのコートに立てたわけではないので、喜びすぎてもいけないが、サマーリーグで冷静に熱く挑戦している渡邊雄太を見ていると、何とか、どんな形でも良いから契約してほしいと思っていたので、ひとまず良かったと勝手に思っている。

サマーリーグでの渡邊雄太のプレーを見ていて、過去に何度かサマーリーグに挑戦した時の今までの日本人とはあきらかに雰囲気が違うので、その時点で私なんかは軽く感動していたのだが、さらに次のステップである2ウェイ契約に進んでくれた。

今までサマーリーグに挑戦した日本人で田臥勇太富樫勇樹は、ハイライトしか見ていないが、なんとか通用しているなあと感じたが、竹内公輔が参加したサマーリーグは見ていないし、川村卓也は見たが、英語の問題もあってか試合に参加出来ていなかった。言い方は悪いがコミュニケーション不足で土俵に立ててない感があった。そもそもサマーリーグに出場出来るレベルにまで到達した日本人は今まで4人しかいない。そんな諸々の要素込みで規格外のハイレベルな環境で、プレッシャーもかかる中、渡邊雄太は、自身の試合でやりたい事、アピールしたいポイントが見ている側に伝わるレベルでプレーしていた。

伝わってきたひとつは、サマーリーグ特有の個人のアピール重視による、チーム秩序の無さを修正しようと、チームメイトに何度も大声で身振り手振りでコミュニケーションを図り、チームとして戦おうと、リーダーシップを発揮していたところ。もうひとつは、ドラフト上位指名選手などを含む1番からなんとか5番まで、全てのプレイヤーに対してディフェンスができ、リムプロテクトも高いレベルで普通に出来るところ。最後は、キャッチしてからのスリーポイントだけでなく、わずかなズレやドリブルからの体勢が崩れた状態でもスリーポイントが打てて決められるところ。現代NBAで必要と言われている要素を、このレベルでこなすことが出来ますと、アピール出来ていたと思う。サマーリーグで1試合平均9.4点、4.2リバウンド、1.6ブロックを記録し、最後の2試合はスタートで出場している事からも、それは分かる。

サマーリーグ前の段階で、かなりの数のエージェンシーが代理人契約をオファーしてきたとある。実力が全てのプロスポーツの世界で、大量の代理人オファーがある時点で、NBA一歩手前の実力があるという事だと思う。最終的に、私も聞いたことのある世界で5本の指に入るスポーツエージェンシー大手のワッサーマンと契約している。サマーリーグで才能がある事をある程度証明できたので、様々な形のオファーがあった中でメンフィスグリズリーズとの2ウェイ契約したのではと言われている。本当に、今までの日本人バスケットボールプレイヤーとしては考えられない状態なのだが、先のオーストラリア戦の勝利に続き、少しずつ前向きな話が出てきている。

日本で一般的にプロバスケットボールプレイヤーは、今まで誰一人知られていないと言っても過言では無かったが、最近は話の流れで八村塁はバスケに興味が無い人でも、なんとなく知っているというレベルになっていると感じる。オーストラリアに勝利したあたりからニュースで、尺は短いが取り上げられているようで、今回の渡辺雄太の件も少しニュースで取り上げられているようだ。

つい最近、開催されていたU17ワールドカップでのアメリカU17代表の試合を観ていると、そのポテンシャルの高さに気が遠くなりそうだが、そんな中に入っても通用しそうな選手が数名でも出てきているのは凄い事だと感じる。バスケでも少しずつポジティブな感情が自然に芽生えてきているように思う。ただ、それもオーストラリアに勝利し、渡邊雄太が2ウェイ契約を結んだ事で感じているだけで、まだまだはるかに道のりは遠いと思ってしまうおじさんが私なのだが、マインドセットを変えなければならないのかもしれない。

 

第24回目・FIBA ワールドカップ 2019 アジア地区1次予選 vsオーストラリア

第24回目。

2018年6月29日、日本がオーストラリアに勝った。こんな試合を、いつか記す時が来るだろうとおぼえがきブログを始めた。今までのバスケの試合で圧倒的に一番感動した。

でもこんな試合は、文章でどう書いたって表現出来ないんだと分かった。されど、少しでもこの日の事を思い出せるように書いてみる。

アジアで無敗、あの中国も一度も勝利した事が無いオーストラリアに、アジア予選全敗中の日本が勝った。満員の千葉ポートアリーナが声援で揺れたと観客が言っている。

オーストラリアは、ミルウォーキー・バックスのマシュー・デラベドバとソン・メイカーを新たに加え、2次予選にこの試合の勝敗が持ち越される事もあってか、実績であきらかに格下である日本相手に盤石の布陣で臨んできた。

日本は、八村塁とニック・ファジーカスを新たに加えた布陣。ニック・ファジーカスは試合前に「オーストラリアは僕のいる日本代表と対戦したことが無い」と言い、生まれたばかりの息子に父が何を成し遂げたかをいつか伝え、可能性は無限に広がっているのだと伝えたいと言っていた。八村塁は練習から別次元のインパクトを与えているようで、馬場雄大が「あいつのプレーは『やれよ、出来るんだろ?』と言われているようで影響をうけている」と言っている。

同じコートにデラベドバとメイカーがいる、その迫力は凄いものがある。ソン・メイカーは画面から、大きさと長さが異様なのが伝わってくる。ティップオフ、八村塁がメイカーと互角の高さまで跳んだ様は、のっけから今までの試合とは違うと感じさせられる。試合が始まってすぐに八村塁がプルアップジャンパーと、ドライブから身体をディフェンスにガシっと当ててからのフェイダウェイジャンパーを2本決める。その打点の高さが今までの日本代表の試合では見られない異常な高さで、すぐにソン・メイカーが腰を低く下げてディフェンスをする。ワンプレーで、こいつは本物だと感じさせられているのが、その姿勢からビンビンに伝わってくる。

オーストラリアは日本相手だと、いつもフィジカルを前面に出して圧倒してくるが、ショートコーナーでパワープレーをしかけてきたオーストラリアのセンターが背中で、八村塁を1ミリも押し込む事が出来ず、ガードにボールを返したシーンは胸が熱くなった。フィジカルプレーは、八村塁には通用しないと試合序盤で感じさせていた。

オーストラリアの監督は試合序盤、余裕な雰囲気で笑っているシーンが2度ほど映し出されていた。選手が感じている異変を感じられていないようだった。格下の日本が頑張っているなあという程度の反応と言っていい。それが、ゲームの殆どを日本にリードされ、デラベドバとメイカーを試合終盤では下げられないようになっていた。下げると点差を離される怖さを感じているようだった。八村塁とニック・ファジーカスに対抗できる力がそれ以外の選手では分が悪いと感じさせられているからだ。終盤のタイムアウトでは、大声で指示を出す姿があり、負けが確定した瞬間は両手を挙げて嘆いていた。確かに今までの日本に二人選手が加わった程度で負けるとは思っていなかっただろう。でもそれぐらい、今日の日本の二人はリバウンドにディフェンスに安定した力を出せていた。

デラベドバは4得点8アシスト、ソン・メイカーは13得点12リバウンド、対する日本の八村塁は24得点7リバウンド、ニック・ファジーカスは25得点12リバウンド。数字では圧勝しているが、デラベドバとメイカーの二人は格が違うという事は試合を観た人なら誰でも感じられたはずだ。その二人と互角以上にやりあえる選手が日本代表にいる事がどれほど凄い事か、本当に感じずにはいられない。この二人がいると、比江島慎、馬場雄大竹内譲次の3人が効果的に生きてくる。デラベドバとマッチアップした比江島慎は、ハンドリングが良いのでデラベドバお得意の激しく間合いを詰めるディフェンスを試みようとするが、比江島慎はスルスルとピックを使って捕まらない。試合終盤の比江島慎から馬場雄大バックドアに合わせたノールックパス、そこからのリングの高さでのレイバックのシーンは、オーストラリアが馬場雄大のスピードと跳躍力に着いてこられないシーンでもあり、それぞれの選手が互角になると、日本の強みが分かるようになってくる。つくづくバスケットボールはチームスポーツなんだと感じさせられる。

ディフェンスでは、ニック・ファジーカスの横の動きが弱い部分を2-3ゾーンで凌ぐ。日本は、点を決めればゾーン、それ以外はマンツーの変則ディフェンスで、オーストラリアはやりにくそうだった。オーストラリアのFG%が34%と、およそ日本相手の数字とは思えないほど低いのが、それを物語っている。2-3のゾーンは日本の高校生の試合のような、よく動くゾーンで国際試合であまり見れないディフェンスのスタイルだったと思う。アルゼンチンリーグの昨シーズンチャンピオンのフリオ・ラマス監督の本領が発揮されていた。それを可能にしているのが八村、馬場、比江島に篠山などのよく動くメンバーで、ニック・ファジーカスの弱点を消して、ストロングポイントである長さとポジション取りのうまさを最大限引き出せていた。

オーストラリアがアジア予選に来たときは、強すぎるのではと言われていた。サッカーでも同じように言われてたと記憶しているが、そんな簡単ではないとサッカーと同じように今日は示せたのではないだろうか。その相手が日本だとは思ってもみなかったとは思うが。

私が定期的にやっているバスケ教室に、最近は80人以上の小学生から中学生までがやってくる。その子たちにワールドカップの話をしたら、全員サッカーの事だと思っていた。

今日の試合みたいに、バスケで前向きな話が出来ることは得難いものがあるし、サッカーなどと共に日本のスポーツの一つとして盛り上がってくれればと思う。