FIBA ワールドカップ 2019 アジア地区1次予選 vsチャイニーズ・タイペイ

第12回目。

絶対に勝ちたかった試合、チャイニーズ・タイペイ戦で69-70で敗戦。観戦後の脱力感が凄く、悔しい気持ちで一杯になった。日本のバスケットボールの若年層の指導から変えないといけないのではと、色々と考えてしまうほど脱力したし、試合に集中していた。敗戦後の代表の面々も悲壮感があり、この試合に懸ける思いは、とても強かったのだろうと感じる事は出来た。

いつも通りスタートは悪く、シュートは全然入らない。田中大貴古川孝敏のうち最初に良い形でシュートを決める事の出来た田中大貴を残し、古川孝敏を早々に比江島慎に替える。その後、宇都直輝や辻直人、永吉佑也が交代で出てきて日本のリズムになっていった。宇都直輝は、タイムアウトの時にフリオ・ラマスHCと同じ方向に立ち、選手たちに対して積極的に声を掛けていた。試合に出ていない段階から、チームを引っ張っていこうとしており、活躍する予感はあった。前回の代表戦での汚名を返上すべく、出場してすぐにリバウンドからロングパスを決めたり、スピードにのったドリブルで速攻に持っていくなど、やってやるという気持ちが全面に出ていた。ディフェンスでも、相手のPGより身長で上回り、横の動きに対してもタイトに対応し続け、試合に勢いを持ち込んでいた。辻直人も、今の日本代表に欲しい強気なプレーヤーであり、1本目のミッドレンジのジャンパーを、入りはしなかったが迷いなく打っており、肝が据わっている事が確認できた。そこからは、怒涛の3ポイントを8本も沈めていく。日本のセンター陣は全体的にリバウンドで分が悪かったが、この試合のレベルで基本通りボックスアウトがやれていたのは永吉佑也だった。応援している京都ハンナリーズの選手だから言うわけではない。チャイニーズ・タイペイのクインシー・デイビスを抑えていた。ローポストのポジションを取らせず、かといって他のセンターが裏をあっさりと取られているのを確認して、必ず半身でディナイをし、体の大部分を当てて中に入らせないよう、執拗に繰り返しポジションの位置を変えて対応していた。オフェンス時のスクリーンも基本に忠実で、ムービングやオフェンスファールを吹かれないよう審判にしっかりと印象づけられる姿勢や手の位置を意識していて、見ていて熱くなれた。太田敦也に、その役割を期待していたのだが、この試合ではリバウンドが0本で、しんどい状態が続いていた。竹内譲次も1本気合の入ったドライブを試みたが、トラベリングの判定で、それ以外で存在感を示す事が出来ていなかった。センターは身長が全てではなく、センターとしてのファンダメンタルを国際試合で遂行する事の大事さを感じた。この試合は、新しく入った選手を中心に動きがあった。辻直人に関しては、以前から代表に選出されており、やっと復帰してくれたと言った方が正しいかもしれないが。

しかし、リードをすると何故か受け身になるのと、試合終盤の勝負がかかった場面で、フリースローを5本連続外したのは、まだ今日時点で勝てるチームになっていないという事なんだろうと思う。こういった本気の試合で、また5,000人を超える満員のホームゲームで、痛い負けを経験して、一つ一つ経験を積み上げて行くしか勝てないのだろうと改めて思わされたし、Bリーグが出来てすぐに勝てるほど甘くはないなあと。今日、納得のいかない結果だった選手や選ばれていない選手も含め、この経験を糧として奮起してほしいし、それが代表の底上げに繋がると思う。すぐにフィリピン戦があるし、楽しみたいと思う。

FIBA ワールドカップ 2019 アジア地区1次予選

第11回目。

来週の木曜日、2018年2月22日にFIBA ワールドカップ 2019 アジア地区1次予選のチャイニーズ・タイペイ戦がある。

現在、日本代表は1次予選をフィリピンとオーストラリアと戦って2戦2敗。昨年11月24日にフィリピンをホーム駒沢体育館に迎えた初戦は、71-77で敗戦。4,000人ほどの体育館が満員で、チケットは完売。バスケットボールの日本代表戦で、ホーム感のある試合を初めて見て嬉しく思った。

フィリピンとは、リオ五輪アジア予選の準決勝で対戦しており、この時も比江島慎田臥勇太の活躍があったが負けている。フィリピンは、カストロと言われているPG、ジェイソン・ウィリアムが中心選手で、日本は、この選手を止めることが出来ない。今回の初戦も勝負所で、そのカストロにスリーやアシストを決められ、負けている。感じたのは、1クォーターの気負いが強すぎてシュートがことごとく入らなかった事が、日本の印象を表しているということだ。日本代表は、一人ひとりを見るとフィリピン代表よりもセンスを感じるし、上手い。でも、勝負となるとフィリピンに負け続けている。それは、フィリピン戦で普段通りのプレーが出来ていないためだ。フィリピンは、勝負所を理解しているというか、それが当たり前の環境でバスケットをやっていると感じる。日本は逆に、勝負所を過度に意識すると空回りをする傾向もある。出来れば、1ランク下のチームとやる時に感じる精神的余裕のようなものを持ってプレーしてほしいと思う。個々の質で言うと、日本の方が上と感じられる部分も多く、余計にそう感じる。オーストラリア戦を観戦して感じたのは、フィリピンよりも明らかに強く、精神論で勝てる相手ではない。しかし、フィリピンは、本来の日本の実力が出せれば、勝てる相手だと感じる。予選はホーム&アウェー方式なのでフィリピンのホームで、2月25日に2戦目がある。フィリピンはバスケットボール大国で人気があり、数万人の会場が満員になるらしいので、アウェーの雰囲気は凄いものがあると思う。確かに狡猾で手ごわい相手ではあるが、実力的に差は無い、むしろ日本の方が上だと感じるので、今度は勝ってほしいと思う。

2月22日に対戦するチャイニーズ・タイペイは、黒人の帰化選手であるクインシー・デイビスの存在が大きいチームだ。チームの印象としてバスケは上手く、合わせのプレーも巧みではある。しかし、日本はFIBA アジアカップ 2017で87-49と圧勝している。この時は、マンツーマンディフェンスで主導権を握り、ボールをよく動かすターンオーバーの無い攻めで攻略できている。ただ、クインシー・デイビスはいなかった。2017年の東アジア選手権では、クインシー・デイビスに29点17リバウンドを取られ、日本は負けている。こんどの試合では、デイビスは間違いなく出場してくるであろうから、この対策が重要になる。ワールドカップに出場するためには、なんとしても、このチャイニーズ・タイペイに勝たなければならない。

今度のチャイニーズ・タイペイ戦は横浜国際プールで開催され、チケットも完売し4,000人ほどの会場が満員になる。ただ、初戦のフィリピン戦の時よりも完売まで時間がかかっている。やはり勝たないと、注目度は上がらないし、今後の日本のバスケの成長の為にも、なんとしても勝利を手に入れたい一戦だ。Bリーグによる選手層の底上げにも期待し、けが人やアメリカで活躍する選手を呼べない状況などがあっても、勝てるところを見せてほしいと思う。

2017年 雑感

第10回目。

2017年をバスケットボール的に振り返ると、充実した1年だったと感じる。1980年代から1990年代の大学卒業までバスケ部に入って、卒業後も地方の実業団やクラブチームでプレーした私のような連中にとっては、日本のバスケットボールに関する情報が、いくらでも出てくる状態は嬉しいの一言だった。日本のバスケの試合を観たり、選手の特徴を知ったり、選手やチームの背景を感じて過ごすことが出来る日が来るとは正直、あまり思ってなかったので。実際、マイケル・ジョーダンのザ・ショットを最後に、あまりNBAも観なくなり、正直その後は、日本でサッカー熱が凄くなり、私自身もサッカーの情報をたくさん耳にして、観るスポーツはサッカーにシフトしていっていた。

今は、サッカーも好きだけど、バスケが一番面白いと感じている。まだまだ日本のバスケは、マニアックな部類に入るかもしれないが、観たいと思わせるコンテンツになっている。一番大きいのは、やっぱりBリーグの存在。正直、bjリーグは一度も観た事がなかったし、実業団も観ていなかった。bjリーグは、純粋にトップでは無いと感じていたし、実業団はプロでは無いし、応援したいと思うチームも選手もいなかった。それが、Bリーグが発足して、純粋に日本のトップ選手が競いあうプロリーグが出来て、観る側も何の斟酌も無しに純粋に楽しめるようになった。日本のバスケが一本の線で繋がる体制になった事が、プレーする側からも、観戦する側からも大切なんだと感じた。そこにいる選手は同じなんだけど、プロとして飯を食って行く覚悟や努力を知るようになった。例えば、Bリーグに所属する後輩は給与面での大きな改善を感じていて「足がつぶれるまでバスケをやる」と言っていたそうだ。自分の母校の後輩の活躍も気になるようになるし、住んでいる土地のチームも気になる。そこからアンダーカテゴリーや日本代表、はたまた日本人で海外に挑戦している者なんかが繋がって観ることが出来る。NBAも観るが、プレーを楽しむという感覚であり、肩入れをして熱くなって応援するおらが町のチームが出来ると、NBAを観る熱量も下がっている事に気づく。でも、それが本当のプロスポーツの楽しみなのかもしれない。NBAに日本人が入ることが出来たら、その時は肩入れをしてNBAを観るんだと思う。その日が来ることも楽しみの一つではある。昔、サッカーのワールドカップに日本が出場していない時、取材に行っていた日本の記者が現地の人に「自国が出場していないのに何故」と聞かれた話を思い出した。そうは言ってもNBAは、バスケットボールにとっては最高のコンテンツであり、圧倒的なパワーを持つ、バスケがメジャーになれると思わせてくれる砦のような存在であるのだけれども。

ウェブや雑誌、ポッドキャストなど、幅広いメディアが日本のバスケを扱ってくれている。月刊バスケットボールだけだった情報は、様々な角度から出てくるようになり、その内容も王道から邪道まで様々になってきている。「ダブドリ」という雑誌は、安定の対極にありながら挑戦し続けているような人たち皆が元気づけられるようなバスケ以外の人たちにも読んでほしい内容だ。メディア以外でも、バスケウェア関係も日本発のウェアのレベルは世界的にみても多種多様で、ナイキに引けを取らないエッジの効いたブランドが出てきている。「ダブドリ」の中で出てくる記事の中に「バスケは最高の遊びですよ。でも思う存分遊ぶためには、そのイメージを具現化するスキルが必要」っていう言葉があり、この言葉に日本バスケの成長がかかっていると感じる。日本が世界で一定のポジションにつくには、身体的にどうしても不利なスポーツの一つだと感じるが、世界のトレンドをしっかりと追いつつも、日本独自のバスケが様々な方向から発展して、世界を相手に何かを魅せられる事が出来れば、私的には大きな成功だと思うし、出来ると思っている。

Bリーグ 2017-18 開幕戦

第9回目。

今シーズンも息子やその友だちたちと一緒にBリーグ開幕戦に行ってきた。応援している京都ハンナリーズと三遠ネオフェニックスの一戦。京都ハンナリーズは、新加入の選手が7名と多く、またその陣容は、昨シーズンと比較して期待できるもので、どんなチームになっているのかワクワクフルフルしながら、選手名鑑も違う出版社のものを計4冊も購入するなど完全に無駄な出費をして(全然読めていない)開幕戦を待ちわびていた。三遠ネオフェニックスには、昨シーズンまで京都ハンナリーズにいた川嶋勇人がいるので、そこも楽しみの一つとして。

息子のバスケの練習時間の都合で、少し試合開始に間に合わなかったのだが、会場から「わあっ」という声援がもれ聞こえてくるので、子どもたちも気が焦ってきて、釣られて私も気持ち早歩きになる。会場に入ると、物凄い声援で、会場中に応援の声や拍手が響いている。席は、せっかくの開幕戦なので、目の前で選手が躍動する姿を子どもたちにみせたい一心で、思い切ってコートからすぐの席を購入した。

今シーズンの京都ハンナリーズの戦術や戦略を、じっくりと観察しようと思っていたが、選手の体のぶつかり合いや高い技術に感動して、戦術の事をすっかり忘れて、中学生の時にNBAを初めて見た時のような気持ちで純粋に見入っていた。子どもたちも、観客と一緒になって三遠ネオフェニックスの選手のフリースローに対して大声でブーイング。選手のワンプレーワンプレーにかっこいいな~とか、上手いな~、こんなに体当てているのか~など、目の前で繰り広げられる筋肉質の戦いに、プロスポーツの醍醐味を感じながら一緒に観戦した。

昨シーズンの開幕戦も生観戦をして大いに楽しんだのだが、昨シーズンの京都ハンナリーズは、チャレンジャーとしての楽しみが中心だった。平均年齢が30歳を超え、お世辞にも選手層が厚いとは言えない部分をチーム力でカバーし、アルバルク東京栃木ブレックスなどの強豪チームを倒した時の爽快感がたまらないというようなチームだった。今シーズンも、まだまだどのようなシーズンになるのかは分からないが、元川崎ブレイブサンダースの日本代表候補である永吉佑也の加入もあり、チームとしての格がなんとなく上がっているように感じた。バスケットボールをしている人なら分かってもらえると思うが、チームの雰囲気で、試合をする前から自然と圧を感じる相手とそうでない相手がいる。昨シーズンの京都ハンナリーズは、強豪チームからすると、やはりくみし易いチームの一つであったのは間違いない。現にシーホース三河には勝てる気がしなかった。初戦を観る限り今シーズンは、そういった印象は減っているように思う。今シーズンは、昨シーズンのように強豪相手に虚をつくようなゲームで勝つという試合は減っていって、ガチンコの勝負相手とみなされていくのではないかと期待したいと思う。ただ、三遠ネオフェニックスには、昨シーズン主力として活躍したPFのロバート・ドジャーと元NBAプレーヤーのSG、カルティエ・マーティンの外国籍選手2人がベンチにもおらず、その部分は差し引いて考えないと、と言い聞かせているのだが、どうしても初戦で18点も差がつくと期待してしまう。 

京都ハンナリーズは、洛南高校出身で東海大学で学生ナンバーワンPGとも称されていたルーキーの伊藤達哉がフィットしている印象で、三遠ネオフェニックスの鈴木達也が激しくディフェンスで当たりにいっても、ハンドリングよく巧みにキープし、なおかつ隙があればドライブを繰り出していた。ディフェンスも試合を通して激しく当りにいっていて、2戦目ではルーズボールに飛び込んでいき、ジュリアン・マブンガや片岡大晴が、すぐに駆けつけて手を差し伸べ、チームに勢いを与えてくれるプレイヤーになっている。

ジュリアン・マブンガは、昨シーズンは滋賀レイクスターズに所属しておりBリーグ得点ランキング3位だった点取り屋だが、昨シーズン終盤に京都ハンナリーズに移籍してきたモー・チャーロが、京都ハンナリーズのボールを動かす戦術にあまりフィットしなかった事もあり、同じような事にならないかと危惧していたが、この日は球離れもよく、アシストを中心としたバスケをしていて、チームの方向性を理解してプレーしているのが良く分かった試合だった。時にはPGとしてボール運びも行い、そのポジションに身体能力の高い外国籍選手がいる事のメリットも感じられた。

それを可能にしているのが永吉佑也やジョシュア・スミスというインサイド陣。永吉佑也の、太田敦也やスコット・モリソンとのゴール下のポジション争いは、間近で見ると、かなり激しいもので、日本人で外国籍選手相手にガチンコで勝負できる存在がいるのは大きいなと。そしてスリーポイントを第3ピリオドに沈めたシーンでは、マッチアップのスコット・モリソンがインサイドのジュリアン・マブンガをケアするためにアウトサイドまで守りに行けず、また伊藤達哉もそこに気づいて中に切れ込みスペースを作って打ったスリーポイントで、永吉佑也の新たなプレーをチームとして引き出そうと意図されたプレーだった。

ゴール下には、ジョシュア・スミスという公称208センチ、138キロ(2試合目の会見で150キロとカミングアウト)がおり、その大きな体は子どもたちも大喜び。試合後にハイタッチした時に、あまりに大きくて子どもたちは帰りの道中でもまだ、ジョシュア・スミスの体の大きさを話していた。

片山大晴は期待以上で、安定感があり、ディフェンス・オフェンス共に激しく、ソルジャーのニックネーム通りの選手で、試合中にハドルを組んだり、声を積極的にかけているのも好印象だった。晴山ケビンは、ゴール下でティップアウトなどリバウンドに絡んでくる選手で、今までなかなか取れなかったリバウンドが、ジョシュア・スミスを含めた外国籍選手や永吉佑也と共にSFに晴山ケビンが入れることで、昨シーズンよりも計算出来るようになった印象だ。綿貫瞬は、PGとして無難に繋いでいた。昨シーズンからいる岡田優介も高確率で外角を決めていて、インサイドが安定することでスペースを有効に使えているのかもしれない。マーカス・ダブはさすがのプレーで、初戦から伊藤達哉やジュリアン・マブンガとの合わせも良く決まっていた。内海慎吾は、昨年のようにPFのポジションに入ることは無くなるので、本来の2番3番でのプレーに専念できる。坂東拓と頓宮裕人は、気負いからか少し硬さが見られたが、ベンチで大声で鼓舞している様子を見ていると、やはり出場してきた時には、自然と大きな拍手を送りたくなる。

三遠ネオフェニックスで目を引いたのは、やっぱり川嶋勇人だった。川嶋勇人は、東山高校出身で関西学院大学の時は、センスだけで勝負して試合を支配できてしまうような選手で、スピードは無いように見えるのだが、アシストやドライブを独特のリズムで繰り出し、関西学生リーグでは、目立つ存在だった。卒業後、日立サンロッカーズに入団し、そのセンスがどこまで通用するかと興味があったが、やはりセンスに頼るプレーの限界のなのか、スピードやパワーで見劣りするように感じ、出番はあまりなかった。昨シーズン、京都ハンナリーズに移籍してきて、最初は同じような印象だったが、途中からディフェンスを頑張るようになり、ルーズボールなども追いかけ、大学時代の優雅なプレーに固執しないような印象になってから、徐々にプレータイムを勝ち取り、終盤は1番から4番までこなすような、なくてはならない選手になっていた。この日は、その泥臭いプレーもあるが、そこに大学時代のセンスあるプレーも随所に出ていて、三遠ネオフェニックスの中で数少ない自らドライブをしかけたり、ピック&ロールからのシュートやパスを繰り広げる選手になっていた。近くで見ると、かなりパワフルで、プロで通用するどころか違いを出せる選手になっているように感じられた。

そして、試合終盤に三遠ネオフェニックスから大口真洋が出てくる。私と同世代の選手で、凄い選手だったことを思い出して、まだ現役だったのかと驚く。当時の関西学生リーグでは、この天理大の大口真洋と大産大石橋晴行、流通科学大の川面剛が凄かったのを覚えており、特に大口真洋は、ファールするのさえ大変と言っても過言では無いぐらい速かった。川面剛は175センチのPGだったが、同じPGの佐古賢一のようにアップでバックダンクや360°(スリーシックスティ)のダンクをしており、パススピードの速さやハンドリング含め、レベルの違いを感じる選手だった。

話は試合に戻って、大口真洋が出場してきて、学生時代のプレーを思い出していたのもつかの間、一回のチャンスでスリーポイントをしっかりと決めた時には、さすがだと感じた。坂東拓が中々スリーポイントを決めきれなかったのを見て、プロの精神的なレベルの大変さを感じたのだが、大口真洋がワンチャンスできっちりと鎮めるあたりは、やはり40歳を超えても日本のトップリーグで試合に出続ける選手だったんだなあと学生時代の凄さを改めて思いだしていた。石橋晴行もB2のバンビシャス奈良でAC兼任選手として現役でいてるようで、本当にすごい選手たちだったんだなあと振り返る機会にもなった。

身近にプロスポーツとしてBリーグが出来たことは、やっぱり良いなあと感じる事が他にもあった。息子が開幕戦の翌日、近所の公園のバスケットゴールでシューティングをしだした。以前から気が向いた時だけは、打つ事があったのだが、今回初めて、遅いので帰ろうと促すと、もう少しシュートを打つと言いだした。日が沈み、暗がりの中で電灯の明かりだけを頼りにシューティングをしているので、ボールが見えにくくなるまで打ち続けていた。帰ってから晩御飯を食べた後に、開幕2戦目の京都ハンナリーズと三遠ネオフェニックスの試合を録画していたので観ていると、今までBリーグの試合には一瞥もくれなかった息子が、最後まで試合内容に対して何だかんだと言いながら見続けていた。親的には、密かに忘れられない2日間になった。

FIBA アジアカップ 2017

第8回目。

第5回目でFIBA アジアカップ 2017のvs韓国の試合を中心にした内容を書いたが、Jバスケというポッドキャストに現在日本代表アシスタントコーチである佐古賢一が出ていて、面白かったので、その内容をほとんどそのまま書いて、アジアカップを再度振り返ってみたい。

佐古賢一が話しているのをしっかりと聞いたのが初めてだったのだが、MCの橋本Jこと橋本淳と親しいのもあるのだろうが、私の勝手なイメージとは良い意味で違った。やんちゃな兄貴分という感じの話しぶり。第一線でやっていた選手だからこその感覚的な話を、分かりやすく伝えてくれて、言葉の選び方や話し方も説得力があり、ついつい聞き入ってしまう。私は、佐古賢一以前と以後ではPGのレベルが一段違うようになったと何となく記憶している。それまでのPGは、スピードが突出していたり、ディフェンスが激しかったりするが、全体としては単調で腰高なプレイをする印象だった。佐古賢一のプレーを最初に見て、ハンドリングの技術が今までのPGとは違い、世界の大会に出ても恥ずかしくない選手が出てきたと思ったことを覚えている。すぐその後に長谷川誠も出てきて、1995年ユニバーシアード大会で共に代表として決勝まで進み、アレン・アイバーソンティム・ダンカンを有するアメリカ代表と戦い、敗れはしたが銀メダルを獲得し、興奮したのを覚えている。その佐古賢一と長谷川誠などを中心とした日本代表は、その後の1997年のアジア選手権(現在のアジアカップ)でアジア2位となり、31年ぶりに世界選手権への出場を決めている。

Jバスケの中で、その時代の日本代表と、現在の日本代表はどっちが上かと言う質問があった。佐古賢一は「間違いなく今の選手の方が、ポテンシャル、環境面含め、すべての面でレベルアップしている」と即答している。実際に、自分が日本代表で活躍し、現代表のアシスタントコーチもしている人間が語る感想なので、リアリティがある。国内では、日本リーグ9回、天皇杯12回の合計21回も優勝を経験しているそうで、日本で一番優勝経験の多い選手ということだった。それだけの実績があっても、そう即答する佐古賢一は、過去に固執するタイプではなく、素直に客観性をもって日ごろからバスケットボールについて考えているのだと思う。引き続いて「ただ、現在のアジアのバスケットボール情勢として中東がスポーツに力を入れている。資金力があるので、立派なスタジアム建設や宣伝が凄いスピードで進み、それに呼応するように認知度と共に集客力も向上し、飛躍的にプレーのレベルがあがりやすい環境がある。我々の時代よりも数段レベルが上の日本代表でも、中東のレベルアップの速度の方が上で、なかなか勝てないが、それがアジアの面白さにつながっている。そして日本もBリーグが発足し、本当の意味でのプロとなって環境の大きな変化があり、選手のモチベーションも上がっている。これを繋げていけば、十分に勝てる状態にある」と答えている。

今回のアジアカップについて、コンディションの調整が大変だったようだ。まず食事面で食べられるものを探すのが難しかったらしい。一つの大きなホテルが選手村となっており、食事会場は各国一緒で、バイキング形式なのだが日本人には味や見た目も合わないような物が多く、数名の選手が体調を崩し、寝込んだりしたそうだ。サッカーの日本代表では専属のシェフが帯同し、食材も日本から可能なかぎりもって行くと聞いたことがある。バスケットボールでは予算の問題があるので難しいだろうし、海外の生活に慣れていくしかないのかもしれない。11月から始まるFIBA ワールドカップ 2019 アジア地区 1次予選は、ホーム&アウェー方式なので、少なくともホームでは良いコンディションで試合に挑めると考えたい。

アジアカップ全体を振り返った感想では、強いチームと試合をするとゲームの後半に失速する傾向があったが、これはチームのシステムが浸透していない事が露呈していると語っていた。これは、フリオ・ラマス監督が来てから実質一週間しか経過せずに大会に入ったので、まだまだチームケミストリーが弱く、強い相手と対戦すると、そこから自信の無さが出て、特に第4ピリオドで自チームの連携を見失う事になるようだ。ただ、どの相手に対しても前半は良く、イニシアチブをとっている時間帯が多くあったので、その状態を一試合通して出していけるようにするために、チームケミストリーを高める必要があり、その部分では、まだまだ改善する余地は相当あり、着地点をしっかりと見つけるという事だった。他のチームでは、韓国は東アジアカップの頃と比較して完成度が高くなっており、フィリピンは前回のアジア選手権で準優勝しているが、その時とほとんどメンバーが変わっていないが、韓国に惨敗している。それぞれちょっとしたメンタルの差なのだが、そのちょっとした差を韓国は、しっかりと詰めてきていたと感じ、フィリピンは、その少しの部分が足らない事が大きく影響し、かなり状況は悪かったように見受けられたそうだ。強い国との対戦では、その少しの差が大きなものになると感じているとの事だった。アジアカップの後に、コーチ陣での話し合いがあり、11月に向けて補強しなければならない部分と切り捨てなければならない部分が明確になった大会で、フリオ・ラマス監督にとっては多くの情報を得られた大会だったようだ、監督というポジションにとっては、情報が全てと言ってもいいとも語っていた。

アシスタントコーチと監督の違いについても言及していた。佐古賢一の現在の役割は、主に選手へのアドバイスやモチベーション向上などのメンタル管理で、練習内容については、大きな枠組みの中で指示されたパートについて立案するが、練習で直接指導するのは、あくまでもフリオ・ラマス監督であり、監督のタイミングで伝えていくそうだ。また、試合中のタイムアウト時も相手チームの選手交代などを確認し、監督に伝えマッチアップのミスなどが起こらないようにしているそうで、自チームのデザインプレーも確認せずに相手ベンチの動きを確認しているとの事だった。あくまでもアシスタントコーチとしての役割を全うするようにしているそうで、Bリーグが始まっても選手とのコミュニケーションを図りつつ、隔週で実施される代表合宿や、アンダーカテゴリーの合宿にも参加し、すべての世代を連携させていく役割を担っていくようだ。

自身が広島ドラゴンフライズで監督をしていた時には、基本的に選手の時と同じ気持ちで、セオリー通りではなく自分らしさを大事にしていたそうだ。それは、勝つことに対して妥協をしない、勝つために生活をすべてささげていくという事をする中で出てくる自分らしさであり、本当に努力し考え抜いた上での答えで、自分にうそをつかないようにしている。選手には、知ってることと出来ることは違う、知っていることを出来るようになるのが一流の選手、それが出来るようになるよう突き詰めなければならないとダメで、そこに気持ちが必要で、メンタルが負けていたら試合では絶対に勝てないと伝えていたそうだ。

11月から始まるワールドカップ一次予選では、グループBに入りチャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、フィリピンとのホーム&アウェーの戦いが始まる。日本からすると強豪ばかりの相手だが、この中から早速1チームが落ちる。佐古賢一も全ての試合が大事になってくると語っていた。