FIBA アジアカップ 2017

第8回目。

第5回目でFIBA アジアカップ 2017のvs韓国の試合を中心にした内容を書いたが、Jバスケというポッドキャストに現在日本代表アシスタントコーチである佐古賢一が出ていて、面白かったので、その内容をほとんどそのまま書いて、アジアカップを再度振り返ってみたい。

佐古賢一が話しているのをしっかりと聞いたのが初めてだったのだが、MCの橋本Jこと橋本淳と親しいのもあるのだろうが、私の勝手なイメージとは良い意味で違った。やんちゃな兄貴分という感じの話しぶり。第一線でやっていた選手だからこその感覚的な話を、分かりやすく伝えてくれて、言葉の選び方や話し方も説得力があり、ついつい聞き入ってしまう。私は、佐古賢一以前と以後ではPGのレベルが一段違うようになったと何となく記憶している。それまでのPGは、スピードが突出していたり、ディフェンスが激しかったりするが、全体としては単調で腰高なプレイをする印象だった。佐古賢一のプレーを最初に見て、ハンドリングの技術が今までのPGとは違い、世界の大会に出ても恥ずかしくない選手が出てきたと思ったことを覚えている。すぐその後に長谷川誠も出てきて、1995年ユニバーシアード大会で共に代表として決勝まで進み、アレン・アイバーソンティム・ダンカンを有するアメリカ代表と戦い、敗れはしたが銀メダルを獲得し、興奮したのを覚えている。その佐古賢一と長谷川誠などを中心とした日本代表は、その後の1997年のアジア選手権(現在のアジアカップ)でアジア2位となり、31年ぶりに世界選手権への出場を決めている。

Jバスケの中で、その時代の日本代表と、現在の日本代表はどっちが上かと言う質問があった。佐古賢一は「間違いなく今の選手の方が、ポテンシャル、環境面含め、すべての面でレベルアップしている」と即答している。実際に、自分が日本代表で活躍し、現代表のアシスタントコーチもしている人間が語る感想なので、リアリティがある。国内では、日本リーグ9回、天皇杯12回の合計21回も優勝を経験しているそうで、日本で一番優勝経験の多い選手ということだった。それだけの実績があっても、そう即答する佐古賢一は、過去に固執するタイプではなく、素直に客観性をもって日ごろからバスケットボールについて考えているのだと思う。引き続いて「ただ、現在のアジアのバスケットボール情勢として中東がスポーツに力を入れている。資金力があるので、立派なスタジアム建設や宣伝が凄いスピードで進み、それに呼応するように認知度と共に集客力も向上し、飛躍的にプレーのレベルがあがりやすい環境がある。我々の時代よりも数段レベルが上の日本代表でも、中東のレベルアップの速度の方が上で、なかなか勝てないが、それがアジアの面白さにつながっている。そして日本もBリーグが発足し、本当の意味でのプロとなって環境の大きな変化があり、選手のモチベーションも上がっている。これを繋げていけば、十分に勝てる状態にある」と答えている。

今回のアジアカップについて、コンディションの調整が大変だったようだ。まず食事面で食べられるものを探すのが難しかったらしい。一つの大きなホテルが選手村となっており、食事会場は各国一緒で、バイキング形式なのだが日本人には味や見た目も合わないような物が多く、数名の選手が体調を崩し、寝込んだりしたそうだ。サッカーの日本代表では専属のシェフが帯同し、食材も日本から可能なかぎりもって行くと聞いたことがある。バスケットボールでは予算の問題があるので難しいだろうし、海外の生活に慣れていくしかないのかもしれない。11月から始まるFIBA ワールドカップ 2019 アジア地区 1次予選は、ホーム&アウェー方式なので、少なくともホームでは良いコンディションで試合に挑めると考えたい。

アジアカップ全体を振り返った感想では、強いチームと試合をするとゲームの後半に失速する傾向があったが、これはチームのシステムが浸透していない事が露呈していると語っていた。これは、フリオ・ラマス監督が来てから実質一週間しか経過せずに大会に入ったので、まだまだチームケミストリーが弱く、強い相手と対戦すると、そこから自信の無さが出て、特に第4ピリオドで自チームの連携を見失う事になるようだ。ただ、どの相手に対しても前半は良く、イニシアチブをとっている時間帯が多くあったので、その状態を一試合通して出していけるようにするために、チームケミストリーを高める必要があり、その部分では、まだまだ改善する余地は相当あり、着地点をしっかりと見つけるという事だった。他のチームでは、韓国は東アジアカップの頃と比較して完成度が高くなっており、フィリピンは前回のアジア選手権で準優勝しているが、その時とほとんどメンバーが変わっていないが、韓国に惨敗している。それぞれちょっとしたメンタルの差なのだが、そのちょっとした差を韓国は、しっかりと詰めてきていたと感じ、フィリピンは、その少しの部分が足らない事が大きく影響し、かなり状況は悪かったように見受けられたそうだ。強い国との対戦では、その少しの差が大きなものになると感じているとの事だった。アジアカップの後に、コーチ陣での話し合いがあり、11月に向けて補強しなければならない部分と切り捨てなければならない部分が明確になった大会で、フリオ・ラマス監督にとっては多くの情報を得られた大会だったようだ、監督というポジションにとっては、情報が全てと言ってもいいとも語っていた。

アシスタントコーチと監督の違いについても言及していた。佐古賢一の現在の役割は、主に選手へのアドバイスやモチベーション向上などのメンタル管理で、練習内容については、大きな枠組みの中で指示されたパートについて立案するが、練習で直接指導するのは、あくまでもフリオ・ラマス監督であり、監督のタイミングで伝えていくそうだ。また、試合中のタイムアウト時も相手チームの選手交代などを確認し、監督に伝えマッチアップのミスなどが起こらないようにしているそうで、自チームのデザインプレーも確認せずに相手ベンチの動きを確認しているとの事だった。あくまでもアシスタントコーチとしての役割を全うするようにしているそうで、Bリーグが始まっても選手とのコミュニケーションを図りつつ、隔週で実施される代表合宿や、アンダーカテゴリーの合宿にも参加し、すべての世代を連携させていく役割を担っていくようだ。

自身が広島ドラゴンフライズで監督をしていた時には、基本的に選手の時と同じ気持ちで、セオリー通りではなく自分らしさを大事にしていたそうだ。それは、勝つことに対して妥協をしない、勝つために生活をすべてささげていくという事をする中で出てくる自分らしさであり、本当に努力し考え抜いた上での答えで、自分にうそをつかないようにしている。選手には、知ってることと出来ることは違う、知っていることを出来るようになるのが一流の選手、それが出来るようになるよう突き詰めなければならないとダメで、そこに気持ちが必要で、メンタルが負けていたら試合では絶対に勝てないと伝えていたそうだ。

11月から始まるワールドカップ一次予選では、グループBに入りチャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、フィリピンとのホーム&アウェーの戦いが始まる。日本からすると強豪ばかりの相手だが、この中から早速1チームが落ちる。佐古賢一も全ての試合が大事になってくると語っていた。