Bリーグ 2017-18 開幕戦

第9回目。

今シーズンも息子やその友だちたちと一緒にBリーグ開幕戦に行ってきた。応援している京都ハンナリーズと三遠ネオフェニックスの一戦。京都ハンナリーズは、新加入の選手が7名と多く、またその陣容は、昨シーズンと比較して期待できるもので、どんなチームになっているのかワクワクフルフルしながら、選手名鑑も違う出版社のものを計4冊も購入するなど完全に無駄な出費をして(全然読めていない)開幕戦を待ちわびていた。三遠ネオフェニックスには、昨シーズンまで京都ハンナリーズにいた川嶋勇人がいるので、そこも楽しみの一つとして。

息子のバスケの練習時間の都合で、少し試合開始に間に合わなかったのだが、会場から「わあっ」という声援がもれ聞こえてくるので、子どもたちも気が焦ってきて、釣られて私も気持ち早歩きになる。会場に入ると、物凄い声援で、会場中に応援の声や拍手が響いている。席は、せっかくの開幕戦なので、目の前で選手が躍動する姿を子どもたちにみせたい一心で、思い切ってコートからすぐの席を購入した。

今シーズンの京都ハンナリーズの戦術や戦略を、じっくりと観察しようと思っていたが、選手の体のぶつかり合いや高い技術に感動して、戦術の事をすっかり忘れて、中学生の時にNBAを初めて見た時のような気持ちで純粋に見入っていた。子どもたちも、観客と一緒になって三遠ネオフェニックスの選手のフリースローに対して大声でブーイング。選手のワンプレーワンプレーにかっこいいな~とか、上手いな~、こんなに体当てているのか~など、目の前で繰り広げられる筋肉質の戦いに、プロスポーツの醍醐味を感じながら一緒に観戦した。

昨シーズンの開幕戦も生観戦をして大いに楽しんだのだが、昨シーズンの京都ハンナリーズは、チャレンジャーとしての楽しみが中心だった。平均年齢が30歳を超え、お世辞にも選手層が厚いとは言えない部分をチーム力でカバーし、アルバルク東京栃木ブレックスなどの強豪チームを倒した時の爽快感がたまらないというようなチームだった。今シーズンも、まだまだどのようなシーズンになるのかは分からないが、元川崎ブレイブサンダースの日本代表候補である永吉佑也の加入もあり、チームとしての格がなんとなく上がっているように感じた。バスケットボールをしている人なら分かってもらえると思うが、チームの雰囲気で、試合をする前から自然と圧を感じる相手とそうでない相手がいる。昨シーズンの京都ハンナリーズは、強豪チームからすると、やはりくみし易いチームの一つであったのは間違いない。現にシーホース三河には勝てる気がしなかった。初戦を観る限り今シーズンは、そういった印象は減っているように思う。今シーズンは、昨シーズンのように強豪相手に虚をつくようなゲームで勝つという試合は減っていって、ガチンコの勝負相手とみなされていくのではないかと期待したいと思う。ただ、三遠ネオフェニックスには、昨シーズン主力として活躍したPFのロバート・ドジャーと元NBAプレーヤーのSG、カルティエ・マーティンの外国籍選手2人がベンチにもおらず、その部分は差し引いて考えないと、と言い聞かせているのだが、どうしても初戦で18点も差がつくと期待してしまう。 

京都ハンナリーズは、洛南高校出身で東海大学で学生ナンバーワンPGとも称されていたルーキーの伊藤達哉がフィットしている印象で、三遠ネオフェニックスの鈴木達也が激しくディフェンスで当たりにいっても、ハンドリングよく巧みにキープし、なおかつ隙があればドライブを繰り出していた。ディフェンスも試合を通して激しく当りにいっていて、2戦目ではルーズボールに飛び込んでいき、ジュリアン・マブンガや片岡大晴が、すぐに駆けつけて手を差し伸べ、チームに勢いを与えてくれるプレイヤーになっている。

ジュリアン・マブンガは、昨シーズンは滋賀レイクスターズに所属しておりBリーグ得点ランキング3位だった点取り屋だが、昨シーズン終盤に京都ハンナリーズに移籍してきたモー・チャーロが、京都ハンナリーズのボールを動かす戦術にあまりフィットしなかった事もあり、同じような事にならないかと危惧していたが、この日は球離れもよく、アシストを中心としたバスケをしていて、チームの方向性を理解してプレーしているのが良く分かった試合だった。時にはPGとしてボール運びも行い、そのポジションに身体能力の高い外国籍選手がいる事のメリットも感じられた。

それを可能にしているのが永吉佑也やジョシュア・スミスというインサイド陣。永吉佑也の、太田敦也やスコット・モリソンとのゴール下のポジション争いは、間近で見ると、かなり激しいもので、日本人で外国籍選手相手にガチンコで勝負できる存在がいるのは大きいなと。そしてスリーポイントを第3ピリオドに沈めたシーンでは、マッチアップのスコット・モリソンがインサイドのジュリアン・マブンガをケアするためにアウトサイドまで守りに行けず、また伊藤達哉もそこに気づいて中に切れ込みスペースを作って打ったスリーポイントで、永吉佑也の新たなプレーをチームとして引き出そうと意図されたプレーだった。

ゴール下には、ジョシュア・スミスという公称208センチ、138キロ(2試合目の会見で150キロとカミングアウト)がおり、その大きな体は子どもたちも大喜び。試合後にハイタッチした時に、あまりに大きくて子どもたちは帰りの道中でもまだ、ジョシュア・スミスの体の大きさを話していた。

片山大晴は期待以上で、安定感があり、ディフェンス・オフェンス共に激しく、ソルジャーのニックネーム通りの選手で、試合中にハドルを組んだり、声を積極的にかけているのも好印象だった。晴山ケビンは、ゴール下でティップアウトなどリバウンドに絡んでくる選手で、今までなかなか取れなかったリバウンドが、ジョシュア・スミスを含めた外国籍選手や永吉佑也と共にSFに晴山ケビンが入れることで、昨シーズンよりも計算出来るようになった印象だ。綿貫瞬は、PGとして無難に繋いでいた。昨シーズンからいる岡田優介も高確率で外角を決めていて、インサイドが安定することでスペースを有効に使えているのかもしれない。マーカス・ダブはさすがのプレーで、初戦から伊藤達哉やジュリアン・マブンガとの合わせも良く決まっていた。内海慎吾は、昨年のようにPFのポジションに入ることは無くなるので、本来の2番3番でのプレーに専念できる。坂東拓と頓宮裕人は、気負いからか少し硬さが見られたが、ベンチで大声で鼓舞している様子を見ていると、やはり出場してきた時には、自然と大きな拍手を送りたくなる。

三遠ネオフェニックスで目を引いたのは、やっぱり川嶋勇人だった。川嶋勇人は、東山高校出身で関西学院大学の時は、センスだけで勝負して試合を支配できてしまうような選手で、スピードは無いように見えるのだが、アシストやドライブを独特のリズムで繰り出し、関西学生リーグでは、目立つ存在だった。卒業後、日立サンロッカーズに入団し、そのセンスがどこまで通用するかと興味があったが、やはりセンスに頼るプレーの限界のなのか、スピードやパワーで見劣りするように感じ、出番はあまりなかった。昨シーズン、京都ハンナリーズに移籍してきて、最初は同じような印象だったが、途中からディフェンスを頑張るようになり、ルーズボールなども追いかけ、大学時代の優雅なプレーに固執しないような印象になってから、徐々にプレータイムを勝ち取り、終盤は1番から4番までこなすような、なくてはならない選手になっていた。この日は、その泥臭いプレーもあるが、そこに大学時代のセンスあるプレーも随所に出ていて、三遠ネオフェニックスの中で数少ない自らドライブをしかけたり、ピック&ロールからのシュートやパスを繰り広げる選手になっていた。近くで見ると、かなりパワフルで、プロで通用するどころか違いを出せる選手になっているように感じられた。

そして、試合終盤に三遠ネオフェニックスから大口真洋が出てくる。私と同世代の選手で、凄い選手だったことを思い出して、まだ現役だったのかと驚く。当時の関西学生リーグでは、この天理大の大口真洋と大産大石橋晴行、流通科学大の川面剛が凄かったのを覚えており、特に大口真洋は、ファールするのさえ大変と言っても過言では無いぐらい速かった。川面剛は175センチのPGだったが、同じPGの佐古賢一のようにアップでバックダンクや360°(スリーシックスティ)のダンクをしており、パススピードの速さやハンドリング含め、レベルの違いを感じる選手だった。

話は試合に戻って、大口真洋が出場してきて、学生時代のプレーを思い出していたのもつかの間、一回のチャンスでスリーポイントをしっかりと決めた時には、さすがだと感じた。坂東拓が中々スリーポイントを決めきれなかったのを見て、プロの精神的なレベルの大変さを感じたのだが、大口真洋がワンチャンスできっちりと鎮めるあたりは、やはり40歳を超えても日本のトップリーグで試合に出続ける選手だったんだなあと学生時代の凄さを改めて思いだしていた。石橋晴行もB2のバンビシャス奈良でAC兼任選手として現役でいてるようで、本当にすごい選手たちだったんだなあと振り返る機会にもなった。

身近にプロスポーツとしてBリーグが出来たことは、やっぱり良いなあと感じる事が他にもあった。息子が開幕戦の翌日、近所の公園のバスケットゴールでシューティングをしだした。以前から気が向いた時だけは、打つ事があったのだが、今回初めて、遅いので帰ろうと促すと、もう少しシュートを打つと言いだした。日が沈み、暗がりの中で電灯の明かりだけを頼りにシューティングをしているので、ボールが見えにくくなるまで打ち続けていた。帰ってから晩御飯を食べた後に、開幕2戦目の京都ハンナリーズと三遠ネオフェニックスの試合を録画していたので観ていると、今までBリーグの試合には一瞥もくれなかった息子が、最後まで試合内容に対して何だかんだと言いながら見続けていた。親的には、密かに忘れられない2日間になった。