第23回目・インターハイ 2018 京都予選 決勝 東山vs洛南

第23回目。

下馬評は、洛南やや有利と聞いていた。実際に準々決勝の映像を確認したら、洛南の方が体格、ファンダメンタル、チーム力等々、全国でもトップレベルと感じたし、吉田監督の指導力は健在だなあと率直に思えた。選手一人ひとりからセンスを感じるし、昔からそうだが、今年の洛南も大学生の強いチームのような雰囲気がある。一方の東山は、高校生の強いチームという印象で、粗削りな印象を受けた。

楽しみにしていた決勝は、子どもたちとテレビ観戦。出だしは洛南ペースで進み、東山はズルズルと点差を離されていく。ここで東山のバックコート陣は、205センチの留学生クリスティンへゴール下のパスを冷静に通していく。その中に一年生ながらPGをまかされている11番の選手がいた。当然、数か月前まで中学生だった選手だが、洛南のオールコートプレスにも動じなかった。平均185センチほどの屈強な洛南の選手が全力で行うオールコートプレスに対して、170センチほどの華奢な体のこの選手が堂々とプレーし、スペースを見つけてパスやドリブルで揺さぶり、時には先輩に指示を出している様子は、驚かされた。そして、洛南が一番やられたくないゴール下のクリスティンへのパスを数回通し、何度か洛南に行きかけたペースを冷静に東山のリズムに戻す作業を行っていた。

試合中盤で洛南のシュートが入らなくなる。ここで気になったのが、洛南の選手が準々決勝で見せたようなプレーが何故、出来ていないかだ。チームオフェンスで冷静に攻めるのが、京都で見るいつもの洛南なのだが、この試合は2Q、3Qにかけて高校生特有のバタバタしたバスケになっていった。その原因が知りたくて、準々決勝と見比べてみた。一番の違いは、東山のディフェンスにあるように感じた。東山の選手も洛南ほどではないにしろ、そこそこ大きく速い。その選手たちが、洛南のピック&ロールや、オフボールスクリーンを使ってフリーを作るオフェンスを封じる為、ショウディフェンスやスイッチ、ディナイをかなり激しく一試合を通して行っており、洛南の選手が思い通りにプレー出来ていなかった。東山は、ハーフコートのマンツーマンディフェンスを基本にしているが、洛南のPGがフロントコートまで運んでくる最中でもチャンスがあれば、間合いを詰めてディフェンスし、ハーフコートオフェンスにスムーズに持って行けない状態を何度か作っていた。球際の激しさが準々決勝の時と明らかに違うディフェンスだった。

このディフェンスは、精神的な部分も大事になる。ここが以前の東山との一番の違いだと感じる。当然、留学生の存在なくして今の東山は語れないが、留学生だけで勝てるほど洛南は甘くない。それぞれの選手が対等と思ってプレーする事がどれだけ出来るかだと思う。そういった事を強く感じているから東山の大澤監督は、留学生を取り続けているのだと思う。それは試合後、東山の選手が「東山の伝統をここで止めるわけにはいかないと思っていました」とインタビューで答えていた事からも分かる。インターハイ京都予選を4連覇しないといけないと選手が感じている状態を維持したいと思っているのだと感じる。洛南が京都を40連覇以上していた時代は、他の京都のチームはどうせ負けると負け癖がついていた。それを払しょくする為のマインドセットのきっかけが留学生であり、勝つ事を伝統にしていきたいと考えているのだと思う。陸上の為末大が以前に何かの記事で書いていたが「マインドセットが変われば、世界が変わる」という事なんだと思う。当然、そこからレベル向上に繋げる事が大前提だが、40年以上負け続けたチームとして、マインドの部分の大事さを大澤監督は身に染みているだろう。

洛南にとっても勝つか負けるか分からない試合のプレッシャーは、良い経験だと思う。こういった試合は、シュート一本一本が重たくなり、そんな状況でも決めきる力が必要になってくる。かっこ悪くても決めきる力が試されるレベルなのかもしれない。この悔しさを、今度は洛南が持ち、良いライバル関係を築ければ面白いと思う。洛南のポテンシャルは以前と変わらず全国トップレベルと感じるので、次はどちらが勝つか分からない。

いままでの京都予選では、そこまで関心の持てる状態では無かったので、そういった意味でも良い事だと思う。