第24回目・FIBA ワールドカップ 2019 アジア地区1次予選 vsオーストラリア

第24回目。

2018年6月29日、日本がオーストラリアに勝った。こんな試合を、いつか記す時が来るだろうとおぼえがきブログを始めた。今までのバスケの試合で圧倒的に一番感動した。

でもこんな試合は、文章でどう書いたって表現出来ないんだと分かった。されど、少しでもこの日の事を思い出せるように書いてみる。

アジアで無敗、あの中国も一度も勝利した事が無いオーストラリアに、アジア予選全敗中の日本が勝った。満員の千葉ポートアリーナが声援で揺れたと観客が言っている。

オーストラリアは、ミルウォーキー・バックスのマシュー・デラベドバとソン・メイカーを新たに加え、2次予選にこの試合の勝敗が持ち越される事もあってか、実績であきらかに格下である日本相手に盤石の布陣で臨んできた。

日本は、八村塁とニック・ファジーカスを新たに加えた布陣。ニック・ファジーカスは試合前に「オーストラリアは僕のいる日本代表と対戦したことが無い」と言い、生まれたばかりの息子に父が何を成し遂げたかをいつか伝え、可能性は無限に広がっているのだと伝えたいと言っていた。八村塁は練習から別次元のインパクトを与えているようで、馬場雄大が「あいつのプレーは『やれよ、出来るんだろ?』と言われているようで影響をうけている」と言っている。

同じコートにデラベドバとメイカーがいる、その迫力は凄いものがある。ソン・メイカーは画面から、大きさと長さが異様なのが伝わってくる。ティップオフ、八村塁がメイカーと互角の高さまで跳んだ様は、のっけから今までの試合とは違うと感じさせられる。試合が始まってすぐに八村塁がプルアップジャンパーと、ドライブから身体をディフェンスにガシっと当ててからのフェイダウェイジャンパーを2本決める。その打点の高さが今までの日本代表の試合では見られない異常な高さで、すぐにソン・メイカーが腰を低く下げてディフェンスをする。ワンプレーで、こいつは本物だと感じさせられているのが、その姿勢からビンビンに伝わってくる。

オーストラリアは日本相手だと、いつもフィジカルを前面に出して圧倒してくるが、ショートコーナーでパワープレーをしかけてきたオーストラリアのセンターが背中で、八村塁を1ミリも押し込む事が出来ず、ガードにボールを返したシーンは胸が熱くなった。フィジカルプレーは、八村塁には通用しないと試合序盤で感じさせていた。

オーストラリアの監督は試合序盤、余裕な雰囲気で笑っているシーンが2度ほど映し出されていた。選手が感じている異変を感じられていないようだった。格下の日本が頑張っているなあという程度の反応と言っていい。それが、ゲームの殆どを日本にリードされ、デラベドバとメイカーを試合終盤では下げられないようになっていた。下げると点差を離される怖さを感じているようだった。八村塁とニック・ファジーカスに対抗できる力がそれ以外の選手では分が悪いと感じさせられているからだ。終盤のタイムアウトでは、大声で指示を出す姿があり、負けが確定した瞬間は両手を挙げて嘆いていた。確かに今までの日本に二人選手が加わった程度で負けるとは思っていなかっただろう。でもそれぐらい、今日の日本の二人はリバウンドにディフェンスに安定した力を出せていた。

デラベドバは4得点8アシスト、ソン・メイカーは13得点12リバウンド、対する日本の八村塁は24得点7リバウンド、ニック・ファジーカスは25得点12リバウンド。数字では圧勝しているが、デラベドバとメイカーの二人は格が違うという事は試合を観た人なら誰でも感じられたはずだ。その二人と互角以上にやりあえる選手が日本代表にいる事がどれほど凄い事か、本当に感じずにはいられない。この二人がいると、比江島慎、馬場雄大竹内譲次の3人が効果的に生きてくる。デラベドバとマッチアップした比江島慎は、ハンドリングが良いのでデラベドバお得意の激しく間合いを詰めるディフェンスを試みようとするが、比江島慎はスルスルとピックを使って捕まらない。試合終盤の比江島慎から馬場雄大バックドアに合わせたノールックパス、そこからのリングの高さでのレイバックのシーンは、オーストラリアが馬場雄大のスピードと跳躍力に着いてこられないシーンでもあり、それぞれの選手が互角になると、日本の強みが分かるようになってくる。つくづくバスケットボールはチームスポーツなんだと感じさせられる。

ディフェンスでは、ニック・ファジーカスの横の動きが弱い部分を2-3ゾーンで凌ぐ。日本は、点を決めればゾーン、それ以外はマンツーの変則ディフェンスで、オーストラリアはやりにくそうだった。オーストラリアのFG%が34%と、およそ日本相手の数字とは思えないほど低いのが、それを物語っている。2-3のゾーンは日本の高校生の試合のような、よく動くゾーンで国際試合であまり見れないディフェンスのスタイルだったと思う。アルゼンチンリーグの昨シーズンチャンピオンのフリオ・ラマス監督の本領が発揮されていた。それを可能にしているのが八村、馬場、比江島に篠山などのよく動くメンバーで、ニック・ファジーカスの弱点を消して、ストロングポイントである長さとポジション取りのうまさを最大限引き出せていた。

オーストラリアがアジア予選に来たときは、強すぎるのではと言われていた。サッカーでも同じように言われてたと記憶しているが、そんな簡単ではないとサッカーと同じように今日は示せたのではないだろうか。その相手が日本だとは思ってもみなかったとは思うが。

私が定期的にやっているバスケ教室に、最近は80人以上の小学生から中学生までがやってくる。その子たちにワールドカップの話をしたら、全員サッカーの事だと思っていた。

今日の試合みたいに、バスケで前向きな話が出来ることは得難いものがあるし、サッカーなどと共に日本のスポーツの一つとして盛り上がってくれればと思う。