第32回目・SHOE DOG 靴にすべてを。

第32回目。

「SHOE DOG 靴にすべてを。」フィル・ナイト著(SHOE DOG)を読了した。

毎月、数冊本を読むのだが、最近では一番面白かった。普段、バスケの時に着るウェアやバッシュで大好きなナイキ。それを創ったフィル・ナイトの自伝で、自ら著した本だ。

何より感じ入ったのは、自虐的で、絵が浮かぶようなギャグが満載で、謙虚で、迷いや悩みが赤裸々に綴られており、そんなフィル・ナイトの弱さを伴った人間性に共感出来るところだ。

歴史物や自伝などでよくある勝利したものによる美化された内容で、誰も真似が出来ないような努力や才能の物語ではなく、等身大の兄ちゃんが、それぞれに癖があり欠点もある人間味あふれる仲間とナイキを大きくしていく話である。

日本との接点も多く、というか日本と共にスタートしているといって良い内容で、登場する日本人も、いけ好かない者から、スカッとさせる好人物まで、様々であり、日本だからとかアメリカだからという視点は、ほとんど無い。

色々なエピソードに、深く納得させられたり、それでいいんだと背中を押されたり、仕事をする上での気づきが数多くあった。色々なビジネス系のハウツー本と比較して、とても控え目で、成功話も自虐的で、時に独りよがりで感情に任せたようで、自分の本心を茶化すかのように書いてあるが、逆にそれが、フィル・ナイトの人柄を表しているのだと思う。その人柄によって、仲間が能動的に仕事を、いやスポーツに取り組むような気分でナイキを新しい会社として発展させていったのが分かる。フィル・ナイトが考えたブランド名を、全員が却下したというのが、それを良く表している。

一方で、ナイキというブランドをナイキ足らしめているのも、フィル・ナイトの精神で、その精神に、どこかで強烈に共感した仲間が、それぞれにナイキをより良くしたいという思いで同じ方向を向いていると言える。

フィル・ナイトの駄目な部分や謙虚な部分、そしてスポーツを愛している部分に、結局は皆が共感出来るかどうかが大事であり、そう思うと、今のナイキの先進的なブランド力は、結局フィル・ナイトの精神の上にあると言える。決してビジネス系のハウツー本ではないが、とどのつまりビジネス系ハウツー本では永遠に学べない部分であり、個人のアイデンティティが大事という話に帰結する。

上手く表現が出来ないが、私にとっては、それでいいんだと背中を押してくれるリーダー像が、大好きなナイキの創設者だった事が、何かの暗示のように心強く思う。